「会議の議事録、AIに任せたら余計に時間がかかった」
「結局、自分で一から書き直している」
そんな経験、ありませんか?
期待して生成AIを導入したはずなのに、これでは本末転倒ですよね。
実は、AIから精度の高い回答を引き出せるかどうかは、ツール選びよりも「依頼の仕方(プロンプト)」にかかっています。
優秀な部下であっても、指示が曖昧だと期待通りの成果物は上がってきません。生成AIもそれと同じです。
今回は、ビジネスの現場で最もニーズが高い「議事録作成」を題材に、明日からコピペで使えるプロンプトの型と、AIを使いこなすためのコツを具体的にお伝えします。
プロンプトエンジニアリングのコツ:AIへの解像度を上げる
AIに良い仕事をしてもらうために必要なこと。それは、大きく分けて「内容整理力」と「プロンプトテクニック」の2つです。
難しそうに聞こえるかもしれませんが、要は「AIに伝わる言葉で話す」ということ。ポイントを押さえるだけで、回答精度は驚くほど向上します。
1.内容整理力:丸投げではなく「論理的」に伝える
人間同士のコミュニケーションでも「あれ、いい感じにまとめておいて」だけでは伝わりません。AI相手なら尚更、「5W1H」を明確にする必要があります。私たちはこれを「情報の構造化」と呼んでいます。
具体的には、以下の要素を指示に含めてみてください。
- 誰が(Role): あなたはトップセールスマン? それとも顧客心理を読むコンサルタント?
- 誰に(Target): 決裁が必要な上司向け? 案件を引き継ぐCS(カスタマーサクセス)担当者向け?
- 何を(Goal): 顧客の「本音」や「予算感」の抽出?
- どのように(Style): 「事実」と「手応え」を分けて? ネガティブ情報も隠さずに?
- どんな状況で(Context): 初回訪問なのか、クロージング直前なのか。競合はいるのか。
この「前提」をサボらずに言語化することが、手直しを減らす第一歩です。
2.プロンプトテクニック:AIに伝わる「作法」を守る
伝える内容が決まったら、次はそれをAIが理解しやすい形式に落とし込みます。プロンプトエンジニアリングにおける「定石」とも言えるテクニックです。
- マークダウン形式で書く 見出し(#)や箇条書き(-)を使って指示書自体を視覚的に整理すると、AIは情報の重要度を正しく理解してくれます。
- 役割の指示 「あなたはベテランの秘書です」と役割(ペルソナ)を与えること。これだけで、回答の視点やトーンがピタッと定まります。
- 出力の明示 ここが意外と重要です。「マークダウンではなく、テキスト形式で」「箇条書きで」とゴールとなる形式(フォーマット)を指定しましょう。これがないと、AIが勝手に複雑な装飾をしてしまい、コピペしにくくなることがあります。
- 制約事項の明示 「推測で書かないこと」「専門用語には注釈をつけること」。やってはいけないことを先に釘を刺しておくのがポイントです。
【具体事例】議事録作成のプロンプト
理屈はわかったけれど、実際どう書けばいいの? と思いますよね。 実際に「議事録作成」のシーンで、悪い例と良い例を比べてみましょう。
うまくいかない指示(悪い例)
今日の商談の文字起こしを貼るから、いい感じに議事録にしておいて。
これでは、AIは何が重要で、誰に向けて書けばいいのか分かりません。結果として、ダラダラと長い要約が返ってくるだけになってしまいます。
成果が出るプロンプト(良い例)
先ほどの「整理力」と「テクニック」に加え、「AI特有の誤字脱字」への対策も組み込むと、以下のようなプロンプトになります。
# 役割
あなたは優秀な営業担当者であり、論理的な分析家です。
# 依頼内容
{ # 前提 }を基に、以下の[商談の文字起こし]から上司への報告用として{ # 商談議事録 }を作成してください。
作成にあたっては、{ # 制約条件 }を守り、{ # 報告の構成 }に従って情報を整理してください。
# 前提
・対象テキストは商談の録音データ(AI文字起こし)です。誤字脱字が含まれる可能性があります。
・商談フェーズ:{初回ヒアリング / 提案 / クロージング / 既存フォロー} ※適宜選択
・自社商材:業務効率化ツール
# 制約条件
・ケバ取りを行い、ビジネス文書として整えること。
・「顧客の発言」と「自社の発言」が混同しないように整理すること。
・顧客の「課題」「懸念点」「予算感」など、受注に関わる重要なシグナルを見逃さないこと。
・推測で書く場合は「(推測)」と明記し、事実と分けること。
# 出力形式(重要)
・マークダウンのコードブロック( ``` )は使用しないでください。
・見出し記号(#)は使わず、【 】などの記号で見出しを表現してください。
・内容は「箇条書き」で記述し、プレーンテキスト形式で出力してください。
# 報告の構成
1. 商談概要(日時、相手先企業名、参加者)
2. 商談の結論(受注確度、次のステップなど、最重要事項を冒頭に)
3. 顧客の課題・ニーズ(顧客が現状抱えている悩みや要望)
4. BANT情報の整理(把握できた範囲で記述)
- Budget(予算):
- Authority(決裁権):
- Needs(必要性):
- Timeframe(導入時期):
5. 主な質疑応答(顧客の懸念点と、それに対する回答)
6. ネクストアクション(自社がやるべきこと、期限)
# 対象テキスト(商談の文字起こし)
[ここにテキストを貼り付け]
まとめ:AIは「魔法の杖」ではなく「最強のビジネスパートナー」
生成AIは魔法の杖ではありませんが、正しい「書き方(プロンプト)」さえ習得すれば、最強のビジネスパートナーになります。
重要なのは、「AIに何をさせたいか」を人間側が論理的に整理できているか、ということ。この思考プロセス自体が、業務の棚卸しや生産性向上にもつながります。
ぜひ商談の議事録作成のテンプレートとして試してみてください。
